株式会社 ハイバーテック |
汎用モーションコントロールボードに独自の工夫 |
ボード本体に加えて専用ケーブルや拡張ボードもRoHS指令に対応 |
ハイバーテックが発売したPCIバスインタフェース搭載の汎用モーションコントロールボード「HPCI-CPD5212M」がシステム開発者の注目を集めている。1枚のボードで12軸もの制御をこなせるからだ。長年にわたってモーション・コントロール技術を手掛ける同社のノウハウに基づいて,各制御チャネルの機能を最適化することで,限られた基板面積とコネクタのピン数の範囲で多軸化を実現した。ボード本体および専用周辺機器のいずれも欧州の規制「RoHS指令」に対応している。 ハイバーテックの「HPCI-CPD5212M」は,同社の主力製品である汎用モーションコントロールボード「CPDボードシリーズ」の一つだ。CPDボードシリーズは,パソコンや組込用PCに内蔵して使うボードで,コンピュータ・システムから送られてくる制御情報に応じて,モーター駆動用の信号を出力するのが主な機能だ。サーボ・モータとパルス・モータの両方に使えるように設計されており,PCI,ISA,USB,PC/104,cPCIなどの標準バスに対応した品種が用意されている。システム設計者は,豊富な品種の中から開発するシステムに最適なボードを選択できる。従来,同シリーズのPCIバス・インタフェース搭載品では,ボード1枚で制御できる軸数が最大8軸だった。HPCI-CPD5212Mの登場によって,CPDボードシリーズのボードで制御できる軸数が増えた。「Motionnetなどシリアル・バスを利用したシステムを除けば,1枚で12軸を制御できるモーションコントロールボードは,他社製品ではなかなか見つかりません」(同社営業技術部部長の伊東健氏)。同ボードは,電子機器に含まれる有害物質に対する規制「RoHS指令」にも対応済みである。 図2 HPCI-CPD5212Mの出力端子限られた出力ピンのアサインを最適化(クリックで拡大図を表示) 限られたPCIスロットを有効活用同社が,12軸の製品を開発した背景には,制御対象の多軸化が進む一方で,制御用PCが備えるPCIスロットの数が減っていることがある。製造装置では,小型薄型化が進むなど加工・検査対象の進化にともなって,実現しなければならない動きが複雑になっている。このため必要とする制御軸の数が増える傾向にある。この一方で、制御用コンピュータとして使われている汎用PCおよび組込用PCも、省スペース化、筺体の小型化が進んでおり、これとともにPCIバス・スロットの数が減少する傾向にある。そこで、より多軸化と省スロットという相反する要求を両立させるために,ハイバーテックが開発したのがHPCI-CPD5212Mだ。 周辺機器も含めてRoHS指令に対応図3 専用ケーブルや専用拡張ボードも用意 いずれも「RoHS指令」に対応している(クリックで拡大図を表示) ただし,1枚のボードに12軸の制御回路をすべて組み込むことは,簡単なことではない。パソコンのPCIスロットに組み込むことを前提にすると,ボードの寸法が限られるからだ。「8軸対応のボードでさえもプリント基板上の実装スペースに余裕がありません。しかも,出力コネクタのピン数にも限りがあります」(伊藤氏)。そこで,同ボードでは,12軸の出力のうち4軸は従来品と同じようにフル機能のエンコーダを備えているが,8軸は入力をZ相のみに限定した。これによって,寸法が211mm×107mmの基板に12軸用の回路をすべて実装できた。出力コネクタには,ハーフピッチ100ピンのHDRAコネクタを2個使っている。 同社は,HPCI-CPD5212Mと同時に接続ケーブルやコネクタボードなどの周辺機器も同時に発売している(図3)。いずれもRoHS指令に対応した製品を揃えている。1983年に設立されたハイバーテックは,20年以上の歴史を誇るモーション・コントロール技術の専門メーカーである。長年にわたって蓄積したノウハウを駆使しながら,システム設計者のニーズに応じた多彩なソリューションを提供している。今回の12軸対応の汎用モーションコントロールボードもその一つといえよう。
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